02062021

『僕が跳びはねる理由』

人との会話が困難で気持ちを伝えることができない自閉症者の心の声を、自閉症の当事者でもある東田直樹さんが13歳の時に記した著書「自閉症の僕が跳びはねる理由」は、理解されにくかった自閉症者の内面が世間に伝わってくきっかけになりました。
その後、本著は20ヵ国以上で翻訳され、さらにドキュメンタリー番組も放送されるなど大反響を呼び、今回の映画化にもつながったようです。

この映画をきっかけに、少しずつでも自閉症に対する世間の認識の変化や理解につながっていくといいなと思います。


残念なことに、熊本での上映はまだ予定されていませんが、是非とも電〇館で上映をして頂けたら嬉しいです。


「どうして目を見て話さないのですか?」

僕たちが見ているものは、人の目ではありません。
「目を見て話しなさい」とずっと言われ続けても、僕はいまだにそれができません。
相手の目を見て話すのが、怖くて逃げていたのです。
僕は、どこを見ていたのでしょうか。
みんなにはきっと、下を向いているとか、相手の後ろを見ていると思われているのでしょう。
僕らが見ているものは、人の声なのです。
声は見えるものではありませんが、僕らは全ての感覚器官を使って話を聞こうとするのです。
相手が何を言っているのか、聞き取ろうと真剣に耳をそばだてていると、何も見えなくなるのです。目に映ってはいますが、それは何かを意識できません。意識できないと言うことは、見ても見ていないのと同じです。
僕がずっと困っているのは、目を見ていれば相手の話をちゃんと聞いていると、みんなが思い込んでいることです。


東田直樹さんの著書「自閉症の僕が跳びはねる理由」より